UI オートメーション メソッドの動的呼び出し

UI オートメーション コントロールのサポートするメソッドが、すべてのサポートするテクノロジの対応するコントロールに対して有効であることを保障するため、Silk Test Workbench API がサポートするのは、これらのコントロールに対して利用できるメソッドやプロパティのサブセットになります。コントロールに対して Silk Test Workbench API で利用でいないその他のメソッドやプロパティの呼び出しには、動的呼び出しを使用してください。

動的呼び出しを使用すると、テスト対象アプリケーション内のコントロールの実際のインスタンスに関して、メソッドの呼び出し、プロパティーの取得、またはプロパティーの設定を直接実行できます。また、このコントロールの Silk Test Workbench API で使用できないメソッドおよびプロパティーも呼び出すことができます。動的呼び出しは、作業しているカスタム コントロールを操作するために必要な機能が、Silk Test Workbench API を通して公開されていない場合に特に便利です。

注: 動的呼び出しは、スクリプトで使用できます。ビジュアル テストでは使用できません。

オブジェクトの動的メソッドは Invoke メソッドを使用して呼び出します。コントロールでサポートされている動的メソッドのリストを取得するには、GetDynamicMethodList メソッドを使用します。

オブジェクトの複数の動的メソッドは InvokeMethods メソッドを使用して呼び出します。コントロールでサポートされている動的メソッドのリストを取得するには、GetDynamicMethodList メソッドを使用します。

動的プロパティの取得には GetProperty メソッドを、動的プロパティの設定には SetProperty メソッドを使用します。コントロールでサポートされている動的プロパティのリストを取得するには、GetPropertyList メソッドを使用します。

たとえば、テスト対象アプリケーション内のコントロールの実際のインスタンスに関して、タイトルを String 型の入力パラメータとして設定する必要がある SetTitle というメソッドを呼び出すには、次のように入力します:
control.Invoke("SetTitle", "my new title")
注: 通常、ほとんどのプロパティは読み取り専用で、設定できません。
注: ほとんどのテクノロジー ドメインでは、メソッドを呼び出してプロパティーを取得する場合、Reflection を使用します。

サポートされているパラメータ型

次のパラメータ型がサポートされます。
  • すべての組み込み Silk Test Workbench 型。

    Silk Test Workbench 型には、プリミティブ型 (boolean、int、string など)、リスト、およびその他の型 (Point、Rect など) が含まれます。

  • 列挙型。

    列挙パラメータは文字列として渡す必要があります。文字列は、列挙値の名前と一致しなければなりません。たとえば、メソッドが .NET 列挙型 System.Windows.Visiblity のパラメータを必要とする場合には、VisibleHiddenCollapsed の文字列値を使用できます。

  • .NET 構造体とオブジェクト。

    .NET 構造体とオブジェクト パラメータはリストとして渡します。リスト内の要素は、テスト アプリケーションの .NET オブジェクトで定義されているコンストラクタの 1 つと一致しなければなりません。たとえば、メソッドが .NET 型 System.Windows.Vector のパラメータを必要とする場合、2 つの整数値を持つリストを渡すことができます。これが機能するのは、System.Windows.Vector 型が 2 つの整数値を引数に取るコンストラクタを持つためです。

  • その他のコントロール。

    コントロール パラメータは TestObject として渡すことができます。

サポートされているメソッドおよびプロパティ

次のメソッドとプロパティを呼び出すことができます。
  • MSDN が定義する AutomationElement クラスのすべてのパブリック メソッドとプロパティ。詳細については、http://msdn.microsoft.com/en-us/library/system.windows.automation.automationelement.aspx を参照してください。
  • MSUIA が公開するすべてのメソッドとプロパティ。利用可能なメソッドとプロパティは「パターン」で分類されます。パターンとは、MSUIA 固有の用語です。すべてのコントロールは、いくつかのパターンを実装します。一般的なパターンについての概要およびすべての利用可能なパターンについては、http://msdn.microsoft.com/en-us/library/ms752362.aspx を参照してください。カスタム コントロールの開発者は、MSUIA パターン セットを実装することによって、カスタム コントロールのテスト サポートを提供できます。

戻り値

プロパティや戻り値を持つメソッドの場合は、次の値が返されます。
  • すべての組み込み Silk Test Workbench 型の場合は正しい値。
  • 戻り値を持たないすべてのメソッドの場合、C# では null が、VB では Nothing が返されます。
  • すべてのその他の型の場合は文字列。

    この文字列表現を取得するには、テスト対象アプリケーションの返された .NET オブジェクトに対して ToString メソッドを呼び出します。

この例では、動的呼び出しを使って UIADocument コントロールのスクロール メソッドを呼び出す方法を紹介します。Silk Test Workbench の API ではこのようなスクロール メソッドを提供していません。 これは、これらのメソッドが、UI オートメーション プロバイダー インターフェイスを実装するすべてのテクノロジの UIADocument コントロールで利用可能ではないためです。

コントロールに対して利用できるメソッドとプロパティを表示するには、以下に示すようなコードを使用できます。
' VB .NET code
Dim textBox As UIADocument = mainWindow.Find("//UIADocument")
Dim propertyList = textBox.GetPropertyList()
Dim methodList = textBox.GetDynamicMethodList()

この例では、GetPropertyList メソッドが返す propertyList には、ScrollPattern.VerticalScrollPercent プロパティが含まれます。GetDynamicMethodList メソッドが返す methodList には、ScrollPattern.ScrollVertical メソッドが含まれます。

動的呼び出しを使うと、次のようなコードで ScrollPattern.ScrollVertical メソッドを呼び出すことができます。
textBox.Invoke("ScrollPattern.ScrollVertical", ScrollAmount.SmallIncrement)
または、次のようなコードで ScrollPattern.VerticalScrollPercent プロパティを呼び出すことができます。
textBox.GetProperty("ScrollPattern.VerticalScrollPercent")